なぜ日本でPS5離れが加速?4つの要因と今後の展望

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「PS5ってすごく話題になってる気がするのに、なんだか周りで持ってる人が少ない気がする」——そんなふうに感じたことはありませんか。

ネットニュースを見ると世界的には大ヒットしているという情報が出てくる一方で、日本のSNSやリアルな会話の中では、Nintendo Switchほどの盛り上がりを感じにくいという声も少なくありません。

この記事では、日本国内でPS5の存在感が薄く感じられるようになった背景を、発売当時の状況からソニーの戦略まで、順を追って整理していきます。

PS5は世界的に大ヒットなのに、なぜ日本では「存在感が薄い」と言われるのか

結論からいうと、PS5は世界的にはまったく失速しておらず、むしろ好調そのものです。

それでも日本国内では「あまり見かけない」「持っている人が少ない」と感じられやすい、少し不思議な状態になっています。

まずはこの”世界と日本のギャップ”の正体を、具体的な数字で見ていきましょう。

PS5は2020年11月の発売以降、着実に販売台数を伸ばし続けてきました。発売から8ヶ月ほどで全世界累計実売台数1,000万台を突破し、その1年後には2,000万台を突破。その後も勢いは止まらず、2023年に入ると3,000万台、半年ほどで4,000万台、さらに5ヶ月ほど後には5,000万台と、右肩上がりでマイルストーンを更新していきました。

そして最新の情報では、全世界累計出荷台数は9,300万台以上(2026年3月末時点)に到達しており、次の大台である1億台突破も視野に入ってきているといわれています。数字だけを見れば、PS5は歴代のプレイステーションの中でも十分すぎるほどのヒット作といえるでしょう。

では、日本国内はどうなのでしょうか。実は日本国内でも、約760万台前後が販売されているとされ、これは過去のNINTENDO64やゲームキューブの国内売上を上回る水準です。前世代機であるPS4の国内売上(約950万台)にも迫る勢いであり、「決して売れていない」わけではありません。

ここで多くの人が誤解しやすいのが、「日本で存在感が薄い=世界的にも売れていない」という思い込みです。実際には世界市場と日本市場は動き方がまったく別で、世界で好調でも日本だけ独自の事情でスローペースになる、ということは十分に起こり得ます。

ではなぜ、これだけの実績がありながら日本では「一部の熱心なファンだけが持つハード」という印象になってしまったのでしょうか。

その背景には、かつての初代PlayStationやPS2との比較があります。これらのハードは国内だけで2,000万台近くを売り上げ、子どもから大人まで幅広い層が当たり前のように持っている、いわば”国民的ゲーム機”でした。それに比べると、現在のPS5は世帯への浸透度という点でどうしても見劣りしてしまい、ライトユーザー層まで広がりきっていない状態になっています。

この「世界では絶好調なのに、日本では静かなハード」というねじれには、いくつかの具体的な理由が積み重なっています。次の項目から、その要因を一つずつ見ていきましょう。




発売時期がSwitch全盛期と重なったことが最初のつまずきだった

PS5がなかなか広まらなかった一番最初のつまずきは、実は発売のタイミングそのものにありました。

PS5が世に出た2020年11月、日本のゲーム市場はすでにNintendo Switchによって完全に席巻されていたのです。

時系列で振り返ってみると、この巡り合わせの悪さがよくわかります。前世代機のPS4は2014年発売、Switchはその3年後の2017年発売。そしてPS5が登場したのは、さらにその3年後の2020年でした。

特に大きかったのが、2020年3月に発売された『あつまれ どうぶつの森』の存在です。おうち時間が増えていた時期と重なったこともあり、ふだんゲームをしない層まで巻き込んで世界的な大ヒットとなりました。

この一本をきっかけに、子どもから大人まで「ゲームをするならSwitch」という空気が、日本全国の家庭にすっかり定着してしまったのです。PS5が発売された時点では、この流れはすでに出来上がってしまっていました。

もうひとつ見逃せないのが、価格のハードルです。

Switch本体はもちろん、より手頃な携帯特化モデルのSwitch Liteも選べたことで、ファミリー層にとっては「とりあえず1台買うならこれ」という選択肢として広く定着していました。一方のPS5は、性能が高い分だけ本体価格も高く、ゲーム好きな一部の層にとっては魅力的でも、一般家庭が気軽に追加で購入するにはハードルが高いものでした。

ワンポイント

「性能が高い=みんなが欲しがる」とは限らないのがゲーム機市場の面白いところです。すでに1台ゲーム機がある家庭にとっては、価格の高い2台目を選ぶハードルは想像以上に高くなります。

つまりPS5は、ハードとしての実力とは関係のないところで、「出遅れた」形になってしまったわけです。この最初のつまずきに、追い打ちをかけたのが次に紹介する在庫不足の問題でした。


転売問題による2年以上の品薄が、ユーザー離れを加速させた

発売のタイミングだけでも不利な状況だったPS5ですが、そこに追い打ちをかけたのが、長期にわたる品薄と転売問題です。

2020年11月の発売直後から、PS5は転売目的での買い占めの標的となり、一般の消費者が店頭やオンラインショップで通常通り購入できない状態が2年以上も続きました。

抽選販売に応募しては落選し、また次の抽選を待つ。そんな状況が繰り返される中で、せっかく高まっていた「欲しい」という気持ちが、時間とともにすり減ってしまった人も少なくなかったはずです。

本来であれば、発売直後のこの時期こそ、話題性や熱量を追い風にライトユーザー層まで一気に広げられるチャンスでした。しかしその肝心なタイミングで「買いたくても買えない」状態が続いたことで、多くの人が別の選択肢に流れていきました。

「それなら今持っているSwitchで十分」と考える人もいれば、「どうせ我慢するならゲーミングPCを検討しよう」という方向に進んだ人もいました。どちらにしても、PS5にとっては一番の追い風になるはずだった時期に、逆にユーザーが離れていく結果となってしまったのです。

ワンポイント

現在はこうした深刻な品薄状態は解消されており、家電量販店やオンラインストアで通常通り購入できるようになっています。「今も転売価格でしか買えない」というイメージを持っている場合は、少し古い情報である可能性があります。

この品薄期間にすれ違ってしまったユーザーとの関係は、在庫が落ち着いた後も簡単には戻ってきませんでした。そしてこの流れをさらに後押ししたのが、次に説明するソフトラインナップの変化です。




独占タイトルの減少がPS5を選ぶ理由を弱めている

「このゲームをやりたいから、このハードを買う」——かつてはそんな理由でPlayStationを選ぶ人がたくさんいました。

しかし今は、その”買う理由”そのものが、少しずつ弱くなってきています。

初代PlayStationやPS2の時代を思い出してみると、『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』『バイオハザード』『みんなのゴルフ』『モンスターハンター』といった、日本国内で絶大な人気を誇るタイトルの多くがPlayStation専用として供給されていました。

「このソフトで遊びたいなら、このハードを買うしかない」という状況が、そのままハードを選ぶ強い動機になっていたわけです。

ところが現代では、ゲームソフトの開発事情が大きく変わりました。主要な人気タイトルの多くが、PS5だけでなくPCやSwitchなど複数のハードで同時に発売される、いわゆるマルチプラットフォーム展開が当たり前になっています。

ここで誤解しやすいのが、「独占タイトルが減った=面白いソフトが減った」という思い込みです。実際にはソフトの本数や質が落ちているわけではなく、単純に「そのハードでしか遊べない」という縛りが薄くなっただけにすぎません。

裏を返せば、Switchやゲーミングパソコンをすでに持っている人からすると、「わざわざPS5を追加で買わなくても、好きなゲームは今の環境で遊べる」という状況が生まれやすくなったということです。

ワンポイント

マルチ展開自体はユーザーにとってメリットも大きい流れです。ただしハードメーカーの視点で見ると、「このハードだからこそ選ばれる理由」を作りにくくなっているという側面もあります。

ソフト面での差別化がしにくくなっている中、ソニー自身もこの状況を踏まえて、戦略の軸足を少しずつ変化させています。次の項目では、その戦略の中身について見ていきましょう。


ソニーが日本より海外市場を優先する戦略に転換している

ここまで見てきた要因は、いわば市場の巡り合わせやユーザー側の動きによるものでした。ただ、それだけでは説明しきれない部分もあります。

実はソニー自身の戦略そのものが、以前ほど「日本市場」を最優先にしなくなってきているのです。

ソニーにとって日本は、Switchという強力なライバルがすでに圧倒的なシェアを握っている市場です。そのため、日本国内でシェアを奪い合うよりも、より規模の大きい海外市場に力を入れる方向へと戦略の重心を移しています。

これは在庫供給の面にも表れていました。日本国内で深刻な品薄と転売問題が続いていた時期でも、海外の家電量販店などには比較的十分な在庫が供給されていたといわれています。同じPS5でも、地域によって手に入りやすさに差があったわけです。

ソフトのラインナップにも、同じ傾向が見て取れます。日本国内向けのタイトルよりも、海外市場をメインターゲットとした大規模なトリプルAタイトルや、欧米ユーザーの好みを意識したゲームが増えてきているのです。

こうした流れは、ソニーが日本を軽視しているというより、「より大きな市場でどう勝つか」を優先した結果と捉えるほうが実態に近いでしょう。ただ、その結果として日本のユーザーが「自分たちに向けて作られている感覚」を持ちにくくなっている面があるのも事実です。

なお、こうした方針の変化は本体・ソフトの展開だけでなく、周辺サービスの終了・整理といった形にも表れています。あわせて読んでみると、ソニーの近年のサービス方針が見えてきます。

市場ごとに優先順位が変わっていく中で、ソニーは次の世代に向けてどのような舵取りを考えているのでしょうか。最後に、今後の展望について見ていきましょう。




Switch2とPS6の登場で、今後さらに状況は変わるのか

ここまで見てきた要因は、いずれも「過去から現在」にかけての話でした。ただ、今後を考えるうえでは、まだ確定していない2つの動きにも触れておく必要があります。

ひとつは、Nintendo Switchの後継機であるSwitch2の存在です。これまでSwitchは性能面の制約から、高性能なグラフィックを求められるパソコンゲームや海外の大作タイトルの移植が難しいというハンデがありました。

この点こそが、実はPS5にとって数少ない明確な強みのひとつでもありました。

ところが後継機では、画質面で譲る部分はあるものの、これまでSwitchに移植できなかったタイトルが動作するようになるとみられています。もしこの流れが実際に進めば、PS5が唯一持っていた「高グラフィックタイトルが遊べる」という強みの一部が、これまで以上に共有されていく可能性があります。

ここは現時点ではまだ確定した情報ではなく、あくまで想定される流れのひとつとして捉えておくのがよいでしょう。

もうひとつの大きな注目点は、次世代機「PlayStation 6(PS6)」です。2026年8月時点で、ソニーからPS6の発売日・価格・スペックについて公式な発表は行われていません。ソニー自身も決算説明会で、発売時期や価格はまだ決まっていないと明言しています。

その一方で、業界関係者やアナリストの間では、2027年末から2029年ごろの発売が有力とする見方が広がっています。あわせて価格面についても、半導体や高速メモリの価格高騰を理由に、これまでの本体価格より高くなるのではないかという懸念の声が出てきています。

注意

発売時期や価格に関する情報は、現時点ではまだ噂・観測の域を出ていません。「〇年に確定」「〇万円になる」といった断定的な情報を見かけても、あくまで一つの予測として受け止め、必ずソニーの公式発表で最終確認するようにしましょう。

もしPS6が高額なハードになった場合、影響を受けやすいのは日本のユーザーです。給料水準がなかなか上がりにくい状況の中で、ゲーム機の価格は購入を左右する大きな判断基準のひとつになっています。次世代機がこれまで以上に高額になれば、今回見てきたようなユーザー離れの流れが、さらに強まってしまう可能性も否定できません。

つまりPS5が抱えてきた「日本での存在感の薄さ」という課題は、次世代機の登場によって解消されるどころか、条件次第ではより深刻になる可能性も見えてきているということです。


よくある質問

Q
PS5は日本で「もう売れていない」ということですか?
A
売れていないわけではありません。国内だけでも約760万台前後が販売されており、これは過去のNINTENDO64やゲームキューブの実績を上回る水準です。ただ、かつての初代PlayStationやPS2ほど幅広い世帯に浸透しているわけではないため、「売上」と「体感的な存在感」にズレが生じているのが実情です。
Q
PS5とSwitch、これから買うならどちらがいいですか?
A
遊びたいソフトが携帯性を求めるタイトル中心ならSwitch系、高画質なグラフィックや大作タイトルをじっくり楽しみたいならPS5系、というのが大きな目安になります。すでに片方を持っている場合は、独占タイトルが減っている今、もう一方を追加で買う必要性は以前より低くなっている点も判断材料にするとよいでしょう。
Q
PS6はいつ発売されて、いくらになりそうですか?
A
2026年8月時点で、ソニーはPS6の発売時期・価格ともに正式発表していません。業界の予測では2027年末〜2029年ごろの発売が有力視されていますが、半導体や高速メモリの価格高騰を理由に、本体価格が現行機より高くなるのではという懸念も出ています。あくまで現時点では未確定の情報として捉えておくのが安全です。

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